Sunday, March 27, 2011

反原発を唱える人が取るべき行動

福島の原子力発電所の事故の影響で反原発の意見が増えてきました。そんななか反原発を唱える人が取るべき行動を考えてみました。

まず、反原発を主張するのならば、原子力に変わる発電方法を提案しなくてはなりません。今や電力は社会インフラの中心となっているので、電力なしの生活に戻ることは不可能です。

しかし、政府の方針や電力業界の規制を変えることもそんなに簡単ではありません。東京電力は、株式会社なので株価が下がり続けたら倒産すると思いますが、おそらく政府が手助けをすることになるでしょう。

日本航空でさえあれほど手厚く救済されたのですから、社長以下管理職を全員クビにするような劇的な改革は期待できません。高い給料をもらっている経営陣は、大きな責任を取らされることもなく、高い退職金をもらうでしょう。

もちろん原子力発電所のさらなる建設ができないとしても、東京圏の電力を独占的に供給しているので、倒産した後に政府主導で再建された会社は、また独占の甘い汁をする組織になるに違いないです。

残念ながら日本の大企業という物は、自浄能力がないばかりか、倒産しても保護されるという社会主義的な環境の中に存在していて、特にそれが電力業界において顕著です。その背景にあるのは、電力業界を保護している行政であり、さらにその利益を得ている国会議員です。

阪神大震災の時の体たらくを思い出すと、自民党であっても民主党であっても、有能な政治家が十分いないことは明らかです。また、有能な政治家が十分に指揮権を発揮できる地位にいないことも明らかです。選挙によって国を良くすることはそんなに簡単ではありません。

では、このエネルギー業界を変えるにはどうしたらようのでしょうか。

答えは、消費者が東京電力を使わなければよいのです。原子力が嫌いだというのなら、原子力で汚れた電力を使うのをやめたら良いのです。また、原子力で得られた電力で作られたサービスを使うのをやめたら良いのです。

消費者の立場からみると、家庭にガスなどのコジェネレーションを設置したり、太陽光発電を設置すれば、東京電力の電力を買うのをやめることができます。一般家庭なら200万円くらいから製品が出ているみたいです。車を1台買うのをあきらめたらよい価格です。

また、企業の立場で考えると、例えばデータセンターをもっているのなら、自家発電をして電力をつくって運用すれば良いと思います。現在のような計画停電が続く状況なら、自家発電設備を持つことが十分なメリットになると思います。

また、自家発電設備を持った後に、消費者にそのことをメリットとして伝えればよいと思います。原子力に反対する消費者ならば、例え1円高い商品であっても、クリーンに製造されていればそれを選択するはずです。

個人的に原子力発電所は安全な技術であるという立場を変えるつもりはないですが、電力業界も市場原理と競争にによって選択されていくべきだと思いました。まあ、それができなくないのなら、個人であろうと企業であろうと国であろうと、市場主義のグローバルマーケットで取り残されてしまうでしょう。

Saturday, March 19, 2011

原子力発電の問題点

原子力発電と電力の問題点は、あきらかに行政の歪んだ規制とその結果もたらされている電力会社の独占にあると思います。

原子力発電というものは、個人的には、正しく設計と運用がされていれば安全な技術だと思っています。もちろん、高速増殖炉とか、特にナトリウムを減速材に使う原子炉は技術的に安全なレベルに達するまでに大きな技術的問題がいくつもあるでしょうけど、単純な軽水炉に関して言えば十分に確立された技術だと思います。

しかしながら、耐用年数が過ぎた原子炉を使い続けたり、一カ所に多くの原子炉を設置したり、地震が来る可能性の高い断層の上に建設することは、あきらかに危険なやり方だと思います。そして、そんな状態を許してしまっている行政と、それを一緒になって遂行している電力会社には当然のように責任があると思います。

今回事故を起こした原子力発電所は、耐用年数が迫っている上に、旧式であるため効率が悪いです。にもかかわらず使い続けなければいけないのは、理由もなく原子力に反対する市民と、それに影響を受けすぎた行政による圧力が原因となっていると思います。たら・れば論になりますが、古い原子炉を捨てて新しい安全で効率的な原子炉に建て替えていたら、今回の事故が防げたかもしれません。

それから、このブログのはじめの頃にスマートグリッドの話を書きましたけど、そもそも日本の電力は、他国に比べて安定供給されていると言われています。確かに、国策としての電力の安定供給は、日本の戦後の行政において必要だったのかもしれません。しかし、今となっては、それが参入障壁になって新しい会社が電力を供給することができなくなっています。

その結果、消費者は電力会社を選択することができずに、東京電力をはじめとする電力会社が独占による暴利をむさぼる結果になっています。もし、消費者が電力会社を選ぶことができれば、原子力発電に反対をするのなら、原子力発電をしない会社を選べば良いだけです。たとえ、原子力発電を使わない電力が高かったとしても、消費者に選択されて、それによって利益が生み出せるのなら十分にやっていけるでしょう。

また、電力に関する規制があまりにも厳しいために、たとえば太陽電池による発電と売電が難しいという話も聞いたりします。もし、消費者が投資の一環で太陽光発電をはじめたら、一カ所の事故による電力不足という事態は避けられたかもしれません。もちろん、太陽光で発電した電力は、クリーンなエネルギーなので、付加価値があって高く売れるかもしれません。一見、高いと思われる商品であっても、正しいやり方で生み出した商品ならば付加価値をつける方法はいくらでもあります。

一般的に、独占的な企業は、官僚的な体質になって腐敗していくものです。その名の通り、行政そのものは官僚によって運営されている訳なので、官僚的になるのは当たり前です。そしてそれは、減点方式で人を評価するために、従来のやり方が踏襲され続けて、斬新でよりよいやり方は、握りつぶされるからです。徐々に組織は、変化に対応できない、前例に忠実な人間で満たされていきます。事故の対応や記者会見をみるたびに、電力業界の官僚的で変化に対応できないトップというものをみることができます。

日本という国の国民性は、こんな事故があっても当事者を責めるばかりで、改善策を考えない場合が多いです。電力に関わる行政や電力会社は、根本的な問題がどこにあったのか、どうすれば二度とこんな事故を防げるのかということを本気で考えて欲しいと思っています。社長が引責辞任するとか、誰かが不必要に責任を感じて自殺するとか、そんなことは誰も望んでいません。

安全と安心

北関東大震災、今回ほど安全と安心の違いについて考えさせられることはなかったですね。

特に震災の後の原子力発電所に対する対応は、まさにその違いが際立っていると思います。

原子力発電所は、30km以上離れていたら安全なのかもしれないけど、安心じゃないんですよね。被爆国としての日本の教育もあるだろうし、原子力発電所の度重なる事故もあるだろうし、なにより放射能が目に見えないところが不安感を大きくするのでしょうね。

安全に食料が供給されるとわかっていても、買い占めしてしまうのもやっぱり、不安な気持ちが収まらないからなんでしょうね。どんなに論理的に説明されたとしても、不安な気持ちというのは、感情なので押さえようがないものですよね。

東京にいたって安全だとは思いますけど、安心した気持ちになれないのはものすごく理解できます。そもそも、海外で暮らしている日本人だって、安全な場所に住んでいるにもかかわらず、祖国がなくなってしまうのかというような不安な気持ちになるひともいるみたいです。

お金があるひとは、安心を得るために、影響にならない程度に買い物をしたり、海外に一時的に逃げても良いのではないかと思ったりします。もちろん、混乱を助長するような行動は避けるべきでしょうけど、復興のためにお金が必要なので日本の内需が増えることは結果的に、復興の助けるになると思います。需要が増えれば税金が増えるのでそれを復興に使えば良いでしょうし、誰かの懐に落ちたお金は、募金という形で復興に使われるかもしれません。

ただし、どんなに遠くに避難しても、どんなに物を買い占めたしても不安なものは不安なんです。安全と安心は違う物ですから。では、安心を得るためには何が必要なんでしょうか。

それは、おそらくコミュニティとかコミュニケーションなんじゃないかと思います。まわりに家族や親戚や友達がたくさんいれば、きっと何かがおきたときはみんなで助け合うでしょう。それに、物理的な支援だけでなく不安な気持ちを伝えるだけでも、それに共感してあげるだけでも安心な気持ちになれるでしょう。

今回の震災で、買い占めに走っているひとは、孤独なお年寄りや主婦が多いと聞きました。そもそも、自分自身、一時的に海外に暮らしているためにあまり知り合いがいなくて、はじめの数日は不安な気持ちになってニュースにかじりついていました。

これを機会に日本に失われつつある、昔ながらの共同体やコミュニティが、震災と同時に復興していくことを願うばかりです。